前立腺がんの検査方法
前立腺がんの検査の流れについて教えてください
前立腺がんは他のがんと比べて進行がゆっくりで初期症状がほとんどないことから、以前は早期に発見することが難しい病気でした。現在は、健診などで実施される血液検査でPSA値を調べることで早期発見できるようになりました。この数値が一定値以上だと前立腺がんの可能性が高いのですが、前立腺肥大や前立腺に何らかの炎症がある場合も数値が高くなります。二次検査では前立腺肥大やしこりがないかを調べる直腸診のほか、超音波検査、MRI検査でがんの有無を確認します。
がんを疑った場合は、前立腺生検検査を行います。この検査は、前立腺に数本の細い針を刺し、細胞を一部採取。顕微鏡でがんの悪性度や進行具合などを調べます。当院では最新の検査システムを用いた「MRI融 合標的生検(ターゲット生検)」を採用しています。MRI画像と超音波画像を重ね合わせた画像を用いるので、より立体的に前立腺や病巣の形を把握し、正確に生検できるようになりました。診断精度が向上したこ とで、がんの見逃しを防ぐことや、再検査をするケースが多かった従来の検査方法と比較して患者様の負担を減らすことができます。ちなみに、採血検査や二次検査でがんの疑いがないと分かった場合は、PSA値は年齢を重ねるにつれ上がる傾向があるので、年に一度は健診などで検査することをお勧めします。
治療はどのように行われるのでしょうか?
前立腺がんは、高分化型、中分化型、低分化型と大きく分けて3つのタイプがあります。高分化型は進行がゆっくりで比較的悪性度が低く、反対に低分化型は悪性度が高いものです。前立腺がんは、同じ前立腺の 中に、悪性度の異なるがんが複数発生することもあるため、これらを検査で確認して病状をスコア化し、再発の可能性や進行状態に合わせて、腹腔鏡手術、放射線治療、ホルモン療法を組み合わせます。例えば、高 齢の方はリスクによっては身体への負担が少ない放射線治療とホルモン療法を組み合わせることや、若い年齢の方は最初に腹腔鏡手術でがんを摘出することもあります。万が一再発した場合は放射線治療、ホルモン療 法と治療法を切り替えていくパターンもあります
前立腺がんの治療の最も難しい部分でもあるのが、排尿機能や男性機能の保全です。治療法や手技の進歩によって以前よりも発生頻度や症状の程度は低くなりましたが、少なからず手術や放射線治療では頻尿や尿失禁などの術後合併症や射精・勃起機能障害が起こるリスクがあります。ホルモン治療でも男性機能は低下していきます。これは患者様ご本人はもちろん、ご家族やパートナーとのライフスタイル、生活の質に関わることですから、今後のことも踏まえて十分に相談しながら治療法を決定します。もちろん、当面は悪さをしないがんであることが分かれば経過観察という方法もあります。
私たちが治療する上で一番大切にしているのは、患者様の意向に寄り添うことです。病気のリスクを踏まえつつ、できる最大限の治療をしていますので、少しでも心配なことや気になることがあれば、医師やスタッフにお気軽にご相談ください。