臨床工学部の業務
教育体制
各業務においてセクションリーダーを配置し、臨床経験年数5年未満のスタッフは業務ローテーションを行います。
活動範囲の広いジェネラリストおよび専門性に特化したスペシャリストを育成します。
経験年数 | 業務内容 |
---|---|
1年目 | 人工透析/医療機器管理/内視鏡/離島・グループ施設応援 |
2年目 | 高気圧酸素治療・再圧治療/急性血液浄化/人工呼吸器管理(NPPV・NHF・在宅含む)/夜勤(2交代制) |
3年目 | 器械出し・スコープオペレータ/ONコール対応(救急患者搬送)/院外演題発表・医療講演/各学会認定資格取得 |
5年目 | 心カテ・ペースメーカ/SAS外来/麻酔アシスタント/人工心肺管理/新人教育・実習生指導 |
8年目 | 集中治療管理(業務リーダー)/専門臨床工学技士資格取得 |
10年目 | 各専門指導者研修 |
15年目 | 業務管理者研修 |
業務内容
ICU:集中治療室
臨床工学技士の配置は1名で、ICUでの人工呼吸器管理(NPPV含む)/補助循環管理(IABP・ECMO)/急性血液浄化における各医療機器の操作・設定管理やウィーニングなど、臨床技術支援業務を担当します。
また、臨床工学部における日勤帯の業務リーダーとして、朝礼・終礼時の司会や業務量報告などの役割も担っています。
ICU業務担当者は、関連する対応が多いことから、呼吸療法認定士および透析技術認定士の取得を義務付けており、現在はトレーニング中も含め7名が対応可能になっています。
MEセンター(医療機器中央管理室)
臨床工学技士の配置は2名で、MEセンター内での保守点検業務だけではなく、救急患者搬送、病棟・ERにおける臨床支援業務にも対応します。組織横断的に毎日ラウンドを行い、当院臨床工学部の業務の基盤となります。
MEセンターでは院内で保有する全ての医療機器を機器管理システムに登録して中央管理を行っており、新規導入・更新・点検・修理・廃棄まで責任を持って対応します。
また、医療機器メーカー主催の保守メンテナンス認定講習会にも随時参加して技術力を高め、人工呼吸器を中心に院内で対応可能な修理・点検業務を行います。
保守管理業務
血液浄化センター
午前・午後の2クール制で臨床工学技士の配置は4名となっており、各血液浄化療法(HD・HDF・ECUM・CART・G-Capなど)における血液浄化装置の操作・設定管理を中心に行います。
また、透析機械室を含め、機器の保守点検整備および透析液作成・水質管理のほか、使用機材の発注・納品など血液浄化センターの運営にとって欠かすことのできない存在として活躍しています。血液浄化業務を中心に離島やグループ施設応援にも対応しています。
高気圧酸素治療室
高気圧酸素治療室では第1種装置(1人用)・第2種装置(多人数用)を保有しています。臨床工学技士の配置は2~3名で第2種装置を中心に日曜祝祭日関係なく日勤帯は365日運営しており、治療中の装置の操作・設定管理や高気圧機械室のエアコンプレッサー・冷暖房装置などの保守点検整備のほか、耳抜き不良時などにおいては第2主装置内への入室対応も行います。
減圧症治療(再圧治療)や急性一酸化炭素中毒などにおいては24時間体制で対応しているほか、スポーツ外傷(自由診療)、職業潜水士の耐圧能力・酸素耐性検査など積極的に取り組んでいます。
内視鏡センター
臨床工学技士の八値は2名で、FGS・CF・ERCP・BFにおける内視鏡ファイバーのセッティングおよび臨床支援業務に加え、内視鏡検査・治療に使用される光源装置やその他医療機器の保守管理も担当しています。
午前中はFGSへのセッティング業務が主体で、午後からのCFでは電気メスの設定や直接介助にも対応します。洗浄業務は外部委託を行っていますが、休日(MEセンター担当者)・夜間(夜勤)は臨床工学部で対応しています。
手術室
人工心肺装置使用時の臨床工学技士の配置は3名で、緊急手術時は休日昼夜問わず対応します。大量出血を伴う手術時の自己血回収装置の操作や脊髄誘発電位を使用する整形外科手術にも対応しているほか、手術室内の医療機器の保守管理も担当しています。
2021年9月以降常勤1名を配置して保守管理業務を開始し、2022年度から常勤2~3名を配置して臨床支援業務の充実化を図り、現在は器械出しに加えスコープオペレータおよび麻酔アシスタント業務など、当院臨床工学部において最も医師のタスクシフト・シェアが進んでいる業務となっています。
心臓カテーテル室
臨床工学技士の配置は1名で、CAGやPCIにおけるモニタ管理のほか、IVUS装置や心臓ペースメーカー(体外式・体内式)のプログラマー操作のほか、必要時は補助循環装置や人工呼吸器などの操作設定管理にも対応します。
ペースメーカー外来
臨床工学技士の配置は1名で、外来診察室において専用プログラマによるペースメーカーチェック(全機種対応)を行うほか、ICDやCRTについても随時対応しています。また、CT撮像前後だけではなく、高気圧酸素治療や放射線治療(IMRT・サイバーナイフ)など、特殊環境下での使用前後のペースメーカーチェックにも随時対応します。
睡眠時無呼吸外来
臨床工学技士の配置は1~2名で、毎週水・木曜日午後の睡眠時無呼吸外来においてCPAP導入およびデータ解析管理を行います。その他、CPAP関連のトラブルおよび問い合わせに対する窓口として24時間体制下、在宅NPPV(ASV含む)やHOTなど在宅呼吸療法にも対応しています。
離島・グループ施設応援
沖縄県内を中心に徳洲会グループ施設の応援業務に随時対応しています。
応援期間は状況により異なりますが、離島においては2週間~1ヶ月の期間をローテーションで対応しています。
【沖縄ブロック内応援対象施設】
① 石垣島徳洲会病院
② 宮古島徳洲会病院
③ 沖永良部島徳洲会病院
④ 新都心クリニック
休日・ONコール体制
日曜日はMEセンター業務担当として2名、高気圧酸素治療室(主に第1種装置)に1名配置しています。
祝祭日においては内視鏡センター・手術室以外は通常業務となります。夜勤は365日体制ですが1名配置のため、複数業務対応に備えONコール体制も継続しています。
【ONコール体制】
人工心肺・内視鏡(1名:交代制)
ファーストコール(8名ローテーション) ・・・ 心カテ・HBO/再圧治療・その他の対応
セカンドコール(係長以上の役職者による夜勤者のバックアップ)
臨床業務実習
現在、養成校からの臨床実習生受け入れは2校となっており、見学実習だけではなく、実際の医療機器を使用した加圧体験(HBO)や模擬体験(NPPV・人工呼吸器)なども行い、実習最終日には確認テストも実施しています。
院内医療機器安全管理講習会
1年次研修医や新人看護師を対象にした医療機器安全管理講習会や、中途採用者に対する医療ガス・医療機器安全管理講習会を定期的に実施しています。
また、人工呼吸器やNPPVの実技指導など各病棟からの依頼に対して随時講習会を実施しています。
学会認定資格
資格名 (臨床工学技士有資格者数) |
有資格者数 | 資格名 (臨床工学技士有資格者数) |
有資格者 |
---|---|---|---|
透析技術認定士 | 9名 | 3学会合同呼吸療法認定士 | 14名 |
体外循環技術認定士 | 1名 | 高気圧酸素治療専門技師 | 2名 |
臨床ME専門認定士 | 3名 | 臨床実習指導者(新) | 1名 |
医療安全管理者 | 1名 | 医療機器安全管理責任者 | 3名 |
衛生工学衛生管理者 | 1名 | 医療ガス保安管理技術者 | 1名 |
透析液安全管理者 | 1名 | 不整脈治療専門臨床工学技士 | 1名 |
呼吸治療専門臨床工学技士 | 1名 | 高気圧酸素治療専門臨床工学技士 | 3名 |
認定集中治療関連臨床工学技士 | 2名 | 認定医療機器管理臨床工学技士 | 1名 |
先輩の声
(2022年掲載)
私は病院見学をした際、当部署の教育体制に魅力を感じたため入職しました。当部署では経験年数ごとに業務内容が決まっています。プリセプター制度により入職5年目までの教育期間中は先輩CEから指導を受けながら業務ローテーションを行い、その後は自らの専門分野を選択し、活動範囲の広いジェネラリストや専門分野に特化したスペシャリストを目指します。
また離島・グループ施設応援として、これまで沖永良部島や石垣島のほか県内のクリニックでも勤務を行ってきました。他施設で実際に勤務することにより業務内容や手技の違いなどを経験し、学ぶことが出来るのも特徴です。
私はCEとして働き始めて2年が経過(3年目)し、現在はMEセンター・血液浄化センター・高気圧酸素治療室・内視鏡センターで勤務しています。2年目より夜勤にも従事していますが、一人で対応できる業務が増えていく一方で、先輩CEのサポートが必要な場面もまだ多く、知識・技術の習得に努める日々を過ごしています。
私は5年間の教育スケジュール中ですが、まずは幅広い業務を行いながらジェネラリストを目指し、将来的には自らの適性や興味のある専門分野を選択してスペシャリストを目指したいと考えています。現在は血液浄化療法に興味を持っており、日々の業務を通して、部署内プレゼンテーションや専門資格も取得し、自らの知識を深めていきたいと考えています。
- 取得資格:臨床ME専門認定士・呼吸療法認定士(2023年)・透析技術認定士(2023年)
- 所属学会:日本臨床工学技士会(沖縄県臨床工学技士会)
【入職希望者に向けて】
当部署ではCE業務のほぼ全てを網羅しており、保守管理業務を中心に臨床支援業務にも携わることができ、CEとして幅広い知識を身につけることが可能です。また、経験年数とともに従事する業務が増え、仕事をしていく中でやりがいを感じる場面が多くあります。
私が就職して以降、現在もコロナ禍のため懇親行事ができず寂しいですが、もともとONとOFFを切り替えながら皆でワイワイ楽しく勤務してきたということなので、少し落ち着いたら懇親行事にも積極的に参加し、先輩・後輩達とのプライベートを含めた関わりも深めていきたいと思います
(2023年掲載)
私は県内のCE養成校を卒業後、就職も沖縄でしたいと考えていました。病院見学の際、幅広い業務が経験できる教育体制であることを知り、元々特定の業務というより様々な業務を経験しながら知識や技術を身につけたいと思っていたため入職を決めました。
現在、MEセンター・血液浄化センター・内視鏡センターで勤務しており、最近から夜勤にも従事するようになりました。一人では対応が難しい場面もまだまだ多くありますが、先輩CEのフォローをいただきながら日々学び、経験を重ねています。
また、当院ではCEが臨床介入を積極的に行っていることも魅力的であり、様々な患者さんに関わっていくなかで他職種の方々ともコミュニケーションを図る機会も多く、会話のなかで知らなかった知識を得られることもあり、やりがいを感じています。
現在携わっている業務の中で、私は人工呼吸器に興味があり、換気モードの中から患者さんにあった設定を選択できるようになり、多職種からも頼られるような臨床工学技士になるという目標があります。その目標に近づくために日々の業務で先輩方からご指導いただきながら、専門資格の取得に向け自己学習にも取り組んでいます。5年間の教育ローテーションのまだ序盤ですが、これから手術室・心カテ・高気圧・離島応援などまだ経験していない業務にも従事してスキルアップしながら、臨床工学技士としての視野を広げていきたいと思います。
学校で学んだこととは別に、実際の臨床現場ではどの業務においても覚えないといけないことが多く、なかなか理解することが難しいこともたくさんあると感じています。その中で分からないことをあやふやにすること無く、臨床現場の第1線で活躍できる臨床工学技士を目指して成長していきたいです。
- 所属学会:日本臨床工学技士会(沖縄県臨床工学技士会)
【入職希望者に向けて】
当部署では、臨床と保守・急性期と慢性期・院内と院外などを区分けしないで、業務ローテーションしながら幅広く身につけることができます。また、複数の専門臨床工学技士や学会認定資格を持っている先輩方のもと、自身の資格取得に向けても積極的にチャレンジすることができます。
臨床現場では緊張感や責任感のある場面は多いですが、その中でも和気あいあいの雰囲気もあり、病院全体として部署間の垣根が低く、協力・連携しやすい環境です。自部署においてもプライベートな話題でも話しやすく頼れる仲間が集まっており、私自身楽しく働くことができています。
私はジェネラリストを目指していたため、教育計画に沿い血液浄化センターからICUへと臨床経験を重ねながら、教育計画終了後(入職5年後)も全業務ローテーションを継続し、最終的には人工心肺管理業務まで携わらせていただきました。
また、離島・グループ施設応援業務として、石垣島・宮古島・沖永良部島に加え、県内のクリニックでも実際に勤務することにより、離島医療の実状や人員不足の厳しさなどを知れたこと、プライベートでも離島文化を体験したことで私自身の見聞も大きく広がったと思います。
現在CEとして当院で働き始めて12年が経過し、副主任として昨年度からは血液浄化センターの業務リーダーを任されています。透析患者さんには合併症が多いため、専門知識は勿論のこと幅広い対応が必要になることから、これまでの経験が業務に活かされていると思います。今後はさらに専門性を高めるため専門臨床工学技士資格を取得し、より質の高い業務展開ができるように努めながら、後進の育成にも貢献していきたいと思います。
● 取得資格:呼吸療法認定士・透析技術認定士・高気圧酸素治療技師
認定医療機器管理臨床工学技士・認定集中治療関連臨床工学技士
● 所属学会:日本臨床工学技士会(沖縄県臨床工学技士会)
日本透析医学会
沖縄県人工透析研究会・沖縄呼吸ケア研究会
【入職希望者に向けて】
私の入職した当時と比べると現在は業務範囲も業務レベルも所属人数も年々UPしてますが、その中でも有休消化率は高く残業時間も均等に調整され、業務量の増加がスタッフの業務負担増にならないように配慮されています。
当部署には幅広い業務を身に付けたいというスタッフがほとんどです。特に入職試験などはないため、興味があれば積極的に見学に来ていろいろ質問してもらいたいです。
(2024年掲載) 新里 竜生
私は沖縄県の養成校を卒業後、地元沖縄で地域に根差した医療を提供している病院へ就職したいと考えていました。臨床実習先として当院を希望した訳ではなかったですが、当院臨床工学部での1ヶ月間の臨床実習の際、CEスタッフの職業意識の高さや多職種からの信頼の厚さに驚き、自分も大きく成長できる環境が整っていると感じたので就職を決めました。
現在6年目で教育プログラムは一通り終了し、沖縄ブロック内の離島・クリニックでの応援業務に対応してきました。また、人工透析や内視鏡などの業務研修を通して、当院だけでなくいろいろな施設の業務を知ることができました。多くの業務に携わることで多角的な視野を持てるようになると思っているので、臨床経験10年目くらいまでは全業務ローテーションを継続して、その後は呼吸治療業務を専門領域に選択したいと思っています。
まだまだ見習いの立場ですが、今後も自身のスキルアップに努めながら後輩の教育にも目を向け、安全で質の高い医療を提供できるよう努めていきたいです。
● 取得資格:臨床ME専門認定士・呼吸療法認定士・透析技術認定士
● 所属学会:日本臨床工学技士会(沖縄県臨床工学技士会)
【入職希望者に向けて】
当院では生命維持管理装置使用時に全症例で休日昼夜関係なくCEコールされる体制になっており、医療機器の操作・設定管理においてCEが中心的な役割を担っているのも特徴の1つです。
しかし、やはり最初の頃は業務量が多く困惑すると思うので、自分も頼りがいのある先輩になれるよう精一杯フォローしたいと思っています。また、多くの専門資格取得者がおり、学会など自己啓発活動も盛んに行われているため、刺激を受けながら自身のスキルアップが図れることも大きな魅力です。
出身校一覧(採用実績)
北里大学 / 杏林大学 / 広島国際大学 / 鈴鹿医療科学技術大学 / 東亜大学 / 九州保健福祉大学 / 徳島文理大学 / 神奈川工科大学 / 日本工学院専門学校 / 東京医薬専門学校 / 大阪ハイテクノロジー専門学校 / 静岡医療科学専門学校 / トリニティカレッジ広島医療福祉専門学校 / 熊本総合医療福祉学院 / SOLA沖縄医療工学院 / 太田医療技術専門学校